宮司の挨拶

新年 明けましておめでとうございます

R3-01-01 / 256話

              

今年は、皇紀二六八一年。エトは、かのとうし年(辛丑年)です。

 旧年は、國の隅々まで、世界のはてまで疫病が蔓延し、大変な年となってしまいました。

新しい年は、何とぞ、穏やかで住みよい年でありますようお祈りいたします。

かつて、京の都は、洛中に神社やお寺が造営できませんでした。したがって大きい神社や有名なお寺は洛外に祀られています。殊もあって京の民俗信仰は、ほとんど洛外に伝えられています。「お綱さん」と言って村の出入り口に太い注連縄を張り悪疫が入ってこないようにとまた、別の神社では、鳥居の脇に高い支柱を立て恐ろしげな大きいお面を掲げて災厄の侵入を防ぐなど、疫病退散の神事が今日なお地域の皆様の祈りが伝えられています。

下鴨神社には、京の七不思議の一つ「何でも柊」があり、疫病や疱瘡(ほうそ)など所謂ハヤリヤマイに罹ったとき、一時も早くなおるようにとお参りをするお社を比良木神社(ひらぎじんじゃ)と呼ばれています。楼門を入って左のお宮さんです。「何でもヒイラギ」というのは。ご祈願のため献木をして御嘉納ならば樹木の葉が柊化するとの言い伝えがあるからです。

かつて、疱瘡、疫病、ナマズ、手術等々、平癒御祈願のおりには、比良木神社へ神宝十種を唱え修めよと、疱瘡が海外より王畿地へ移さされた延暦九年(七九〇)頃の秋冬に累祖鴨県主真蓑が勅命を蒙り神事を勤めたとの伝えがあって以来、今日までなお信仰されています。

ぜひ、新しい年も三密(密閉・密集・密接)防止を実践し手洗い、マスクの着装、さらに荒ぶる神々がお鎮まりになるよう祈を捧げていただきたいと思います。

                             賀茂御祖神社 宮司 新木 直人