宮司の挨拶

もうすぐ、春

H30-02-11 / 228話

 先日らい大寒の名のとおり厳しい寒さでした。北陸地方は、まれな大雪、被害も大変なこととテレビのニュースで悲惨な状況を報じていました。お見舞い申し上げるばかりです。

 暦のうえでは、二十四節気の、雨水・うすい、という時候です。もうそこまで春がきている、といっています。ところで、木偏に春と書いてツバキと詠みますが、やはり春さきの花木です。

 糺の森には、白雪にもまがう真っ白な花をつけるツバキがあります。光格天皇がお手植えになられ「ぎせつ」(疑雪)と名つけられた椿です。いまは、その孫の木です。今朝、見てみたら、まだつぼみでした。しかし、大きくふくらんで白い肌が今にもみえそうでしたから、もうすぐ、春です。

 前回、この欄で糺の森の雪を詠んだ和歌の話しをしました。今回は、雪の時期がすんで華やかな糺の森の俳句をみてみましょう。

 糺の森は、詩歌や物語に数多登場しますが、小林一茶についてみてみましょう。一茶は、寛政四年(1792)、五年と、30歳のとき、西本願寺を父の代参のため京都を訪れています。その節に四国はじめ西国の各地を旅しています。

 京都に滞在していたとき、糺の森を訪れ、数句を詠んでいます。

  

  涼しからん這入口から賀茂の水

 これは、松尾芭蕉の門人の句「みあれの日檜垣の宿に立寄りつ」とある「檜垣」茶やの入り口は、泉川に接しており、川船にわたした細い橋を渡って入りるお茶やを詠んでいます。このお茶やは、戦時中に改装して宮司官舎となりました。

 また一茶は、国学に傾倒していたところから、鴨社公文所の学問所で講義を聴き、のちにそのときの句とされています。

  花おのおの日本魂いさましや

  桜さく大日本ぞ日本ぞ