宮司の挨拶

夏越の神事

H30-07-28 / 235話

連日の猛暑日にうだる暑さのなか立秋の話しをしなければなりません。足つけ神事がすんだ、と思えば、もう立秋。矢とりの神事です。朝晩は、それらしい心地よい風にめぐりあうこともあります。

 

  数の矢を 取りえし人や 勇ましき   

  杖いれて 老いのくぐりし 茅の輪かな   紅酔

  八足に 形代たかく 積まれたり      くに女

  樂の音の 澄める糺の 御祓かな      子角

  流れゆく 形代の名の をみなかな     虚子

 茅の輪をくぐるのは、六月の暮れが多いですが、下鴨神社は、立秋の前夜です。

 茅の輪の歴史は、古く『備後国風土記』逸文に、その説話がすでに述べられています。厄払い、として民間に広まったのは、むしろ近世になってからではなかったか、と思われます。下鴨神社の場合は、明治維新になって、神社の制度が大きく変革するなかで、祭事、神事もかわり、その一つがこの茅の輪くぐりの信仰が始まったことでした。当時の氏人の日記をみると、そのころ、社頭に茅の輪を設けていた神社は、一社か、二社で。お寺さんの方がむしろ多かったようです。神社のそのうちの一社に作り方などを習った、と書かれています。

 下鴨神社は、人形と齋串による解除、御祓いの神事が中心でした。官祭の唐崎社は、二十八宿の御祓いで、氏神の井上社、御手洗社は、十二支の干支の御祓いでした。

 両神社が合祀になって以来、祭事、神事も重ねてお祭されるという珍しい神事となっていました。なかでも、裸男がみたらしの池に飛び込む様は今も変らずにおこなわれます。

 本年は、8月6日(月)午後7時から、みたらしの池のお社でお祭が始められます。