宮司の挨拶

季節の催事名月管絃祭

H28-09-05 / 200話

 昨日まであぶら汗を滲ませていたのに、今日は、わずか秋の匂いを肌に感じる気のながれにさわやかな思いです。

 と、している間に名月管絃祭の季節到来です。よくお尋ねのあるうちの一つに、「何で、名月です。普通、明月、と書くのではありませんか」と。たしかに、「名月」「明月」両方つかわれています。広辞苑をみると、「名月」は、旧暦の八月十五夜のお月さん。旧暦の九月十三夜のお月さんも云う、とあります。「明月」のほうは、澄みわたったお月さんのこと。とあります。また「名月」と同じ、とも記されています。それなら、どちらを書いてもよい。同じこと。と、いう意味でしょう。学者先生に訊くと、陰暦の八月と九月は、古代の天文や暦の説をならべて、延々と論じられますが、何人の方が理解されていましょうか。広辞苑にあるよう「どちらを書いてもよい。同じこと。」が、よいのではないかと思います。

 ただ、下鴨神社では、文字も言葉も数字が神さんとしてお祀りしている古代からの神社―言社(ことのやしろ)という御社があります。ですから、文字や言葉、数字には、常にその大きなお力を讃えています。

 昔のまま「名月管絃祭」と称しています。むしろ「名月」という文字よりも旧暦の「八月十五日」という日を重視しています。

 暦に雑節(ざっせつ)という日本の気候にあわせた季節の標記が記されていますが、一年を四つの土用に分けるなど、一年の季節の巡りを月日という数字にあわせてた日に意味があり、現れたその日が御祭をする日でした。一年という季節の時計が一目もり進む日で新しい日々のため無事息災をお祈りする御祓い神事の御祭の日でした。

 今年は、九月十五日。神賑行事は、、夕刻より、お茶席のみ有料(千円)、尺八、箏曲、筑前琵琶、舞楽の演奏が午後九時まであります