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森の再生事業
森林生態学の権威四手井綱英博士は30年前、スニーカーにナッパ服姿で糺の森に足を踏み入れました。六〇余年前、すぐ近くの中学、そして京大農学部で学ばれた頃からの周知の森でした。芦尾の森、また世界の自然林をフィールドワークの眼で見た、久しぶりの糺の森。バンカラだった学生時代の追憶に浸る前に、四手井博士はこの森は弱っている、と直感。水の失われた川跡、踏み荒らされ、枯渇した土壌。それだけではない。何と木立の間に、あるある空き缶、テレビ、冷蔵庫、おびただしい粗大ゴミ…。ため息の出る光景でした。森に好いわけがない。しかしまだ見込みがある。神社の要請を受けた博士の研究チームが古代の森再生事業が始まった。
全ての樹木がコンピュータ入力された
京都府の「緑の基金」を得て京大の森本幸祐先生が平成3年に糺の森を調査。直径10センチ以上の樹木は56種、3449本あった。驚くべきデータであった。アラカシ・榎・ムク・ケヤキ・紅葉など落葉樹林、つまり暗い鎮守の森とは違い、明るい神の森であることが判明した。まさに人ではなく神が守った古代の森であった。
成功した「寄せ植え法」
糺の森が踏み荒らされ枯渇している―この問題点が判明した。まず土壌改良、枯れ川に水を復活。昭和55年発足した糺の森顕彰会は市民参加の植樹運動を展開した。それでも根付かない枝木。採用されたのが1m四方に杭を打ち、その中に10本ほどの若枝を植え生命力の強いものだけを伸ばすという方法。
成功だった。年を重ねる毎に若木が残り、中には成木の寄付者もあらわれ空き地に樹木が根付いた。
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