鴨の神石

今年の御手洗祭は、夏の土用十八日間のうち、丑の日を中心に九日間でした。
 期間中、十万人に及ぶ大勢の方々にお参りしていただき、賑々しく御祭をご奉仕できましたこと、篤く御禮申し上げます。
 御祭の期間中に度々、ご質問をうけたのは、「歯がため」のお石、とか、「食べ初め」のお石について、でした。この質問の多いのは今に始まったわけではありません。地元、京都の方々は、ご存じであったと思いますが、昔からの言い伝えのようにつたわっています。
 古くは、宮中で行われていた儀礼であり、お公家さんの年中生活のなかでお子達の生育儀礼のお祝いごとが、市民生活でもおこなわれるようになり、御手洗の池のお石がお祝い事や新生児のかん虫など病よけとして受けられるようになりました。
 「君が代」のなかに、石が生長して大きな岩となるように詠われています。石は、人類にとって古代から深い関わりがあります。石には、自然の神々がやどられる依代であり、石が固くて丈夫なように云い知れぬ大きな力を秘めています。『風土記』には、各地に伝承する石神の信仰を記していますし、『延喜式』には、石を神としてお祀りする神社のことを伝えています。近世になっても民俗学者は「生石伝説」(いきいしでんせつ)として各地の説話を伝えています。
 江戸時代の中山内大臣の日記『中山内府記』という資料に生後七日目の儀礼のことを記しています。御祝い品のなかに「石三個」とあります。それは「髪垂の儀」(かみたれのぎ)と称して胎髪を剃る儀礼で産髪をそる産ぞりのことです。
 生後一カ月後の儀礼「歯がための儀」あるいは、「お食いぞめの儀」と呼ばれている儀礼にも男の子は、黒石。女の子は、青石、一個、祝い膳に置いてお祝いすると『卯辰集』に記しています。またその頃、「行きはじめ」とか「歩きぞめ」(ありきぞめ)などと呼ばれている新生児がはじめて外出する儀礼でお祝いに紙にお石を三個包んで贈る、としています。その包み紙には、「君か代」など石にちなんで詠まれた和歌を書くともお公卿さんなどの儀礼を記した『韻塞』にあります。男子三才、女子二才あるいは、三才の十一月十五日の「髪おきの儀」あるいは、「髪たての儀」には、やはりお祝い膳にお石をおいてお祝いすると『古川柳辞典』にあります。いずれもこのお石は、下鴨神社の御手洗の池のお石を受けてくる、と記しています。

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