宮司の挨拶

ウノハナ・ナラ・ヌルデ

H30-03-30 / 230話

 ラグビーの神さまー雑太社(さわたしゃ)の例祭は、4月1日であった。ずいぶん長い間、三井社の末社さんに仮にご動座になっていました。元の地に戻られて久しい例祭となりました。最後の追い込みの工事は、外囲いの芝垣。手水は、ようやく石工にいたりましたが、まだ完了していませんので、今年の例祭には間に合いそうもありません。

外囲いの芝垣には。ナラの枝を挿すことになっています。今の時期、葉代わりの時期ですから、一尺あまりの枝を数十本揃えるのは難しいことです。

奈良殿の神のお祭は、ウノハナです。葵祭、みあれ神事は、ヌルデです。ウノハナのことは、この欄で何度か伝承を書きました。今日は、違う見方を記しておきましょう。

旧暦の頃の奈良殿の神の祭の卯の花神事は、4月1日でした。古い時代の雑太の神の例祭も旧暦の4月1日でした。ですから、同じ日の同じ祭かといえば、言えなくもないのですが、奈良殿の神の祭は、賀茂の斎王さまが御奉仕される祭です。雑太の祭は、氏人が奉仕する祭です。奈良殿の神の祭は、無社殿神地の舩島です。その時期は、舩島いっぱいに卯の花が咲き花のなかでおこなわれるお祭です。御供えの器は、奈良の木の葉盛りです。そうして、座太の神の祭を奉仕する氏人は、冠のかざしに卯の花を挿し、衣紋の腰にも卯の花を挿し、社殿の芝垣には、ナラの葉を挿します。

葵祭の社頭の儀で神禄を勅使にさしだす杖は、皮をとったヌルデをつかいます。みあれ神事の忌子女(いんこのめ)が奉持する白杖も皮をむいたヌルデです。いずれも、旧暦の四月の神事です。新暦に変ってからは、五月になりましたが、四月のはじめ、まだ芽をふかない時期に山へころあいのヌルデを探しに行きます。漆ですから、痲ぶらないようにするのがたいへんです。先に皮を剥き薬草として御供えにするため陰干しをします。ジクは整えて乾かします。もともと、みあれ神事の白杖は、毎年、朝廷から賜わっていましたが、現在は、神社で調製しています。